日本語で読めるフランス・
ヨーロッパ宇宙分野情報サイト

CLOSE

よもやまコラムYOMOYAMA COLUMN

航空・科学技術

空を飛ぶ海の生き物たち (1)シロイルカ:ベルーガ

P20200829 Beluga dauphin.jpg左の写真は水族館のシロイルカです。真っ白な体に膨らんだ頭、大きな口、なんともすっとんきょうな姿ですが、なんとなく癒される感じもします。そしてシロイルカは「ベルーガ」と呼ばれています。

キャビアの種類にも「ベルーガ」はあるのですが、それは「オオチョウザメ」といってサメの仲間で、ベルーガという名はロシア語からきているそうなので、このシロイルカのベルーガとは別のものとのこと。

そして次の写真が飛行機のベルーガ。これは大型貨物の輸送のための飛行機で、エアバス国際貨物社が使っています。そのフォルムがシロイルカに似ているためベルーガという愛称で呼ばれています。

P20200829 Beluga avion.jpg

このベルーガ、運ぶものはエアバスの飛行機の機体の一部や翼などの部品であったり、産業用大型重機であったりなどです。考えてみればいろいろな物や施設が作られ、設置され、稼働している現代ですから、こういった大型貨物輸送用航空機があるのもおかしくはないです。例えば次の写真はロシアの大型貨物輸送機のアントノフです。前の部分をパカっと開けてすごく大きな機材を積んで、6つのエンジンで空を飛んで積荷を目的地まで届けます。そしてこれら大型貨物輸送機はロケットの機体や人工衛星などの輸送も行います。

Antonov 2 ouvert.jpgAntonov 1.jpg

Beluga Salon de bourget.jpg

宇宙事業分野での例では、エアバスのベルーガの兄貴分ともいえる輸送機「グッピー」が挙げられます。グッピーは20世紀中盤のアメリカの宇宙開発、例えばジェミニ計画、アポロ計画などで要望されたところを起源として運用が始まりました。生物のグッピーはメダカの仲間だそうです。輸送飛行機のグッピーについては次回に紹介します。

さて、エアバスのベルーガについて。機種名は「A300-600ST」で、後ろのSTは「スーパー(S)・トランスポーター(T)」を意味しています。

エアバスのA300系をもとに全部で5機作られた双発の輸送航空機です。既に20年以上、エアバス機の最終組立工場のあるトゥールーズ(仏)やハンブルグ(独)をはじめ、世界のあちこちに大きな部品を運ぶのに活躍しています。

そして今「ベルーガXL」という更にパワーアップしたものがやってきました。エアバスが機体構成マネージメントに導入するA350のXWBの機体部品輸送のため、A330を土台にしてベルーガの後継機として作りました。ベルーガXLは2018年に最初の飛行を行い、2019年には欧州航空安全機構(EASA)での飛行免許を取得しました。そして2020年1月に運用が始まります。

下の写真がベルーガXLです。目と口のあたりがなんとも言えません。

P20200831 BelugaXL.jpg

文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)

No:Y2020031-01