posted: 2020/11/28
update: 2020/11/28
2020年11月19日、イギリス政府は国防費の増額を発表したが、ジョンソン首相はその中で王立空軍宇宙司令部(RAF Space Command)の創設について言及している。
国防費の増額分は241億ポンドで、これはマニフェストで掲げた額より165億ポンド多い数字である。
ジョンソン首相および同日の英国防省の発表では、軍備・技術分野について、近年無数の新技術を開発したり武器に利用したりしている敵対国らと対峙していくためにイギリス軍も革新的な技術を導入していけるようにするとしている。そのためAI開発機関、国家サイバー部隊、宇宙司令部を設立するとのこと。
宇宙司令部は宇宙におけるイギリスの支配力を守るもので、また2022年にイギリスからの初のロケットによる衛星打上げミッションで打ち上げられる衛星の管制も行う。
欧州では2020年9月、フランス空軍の名前が航空宇宙軍に変えられ、宇宙司令部(CDE)も発足した。そのフランスでは2020年11月24日に航空宇宙軍が主催するシンポジウムが行われ、パルリ軍事大臣は開会のスピーチで新しい戦略的競争の場は宇宙だと強調した。
またパルリ軍事大臣は宇宙分野でも協調、協力をしていくことが大切で、特に既存のフランス、ドイツ、イタリア間の会話の重要性に言及した。
フランスの航空宇宙防衛専門誌エール&コスモスは、今後この中にイギリスが入ってくるか興味深いと書いている。
上記シンポジウムはYouTubeの仏航空宇宙軍公式チャンネルで、14時〜17時まで3時間生放送された。このような形で行われるのは初めてのことである。現在は録画版を視聴することができる。
ソース:英国防省(19/11/2020)、仏航空宇宙軍(公式YouTube Colloque armée de l 'Air et de l'Espace 2020 24/11/2020)、A&C(25/11/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20201127-02
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。