日本語で読めるフランス・
ヨーロッパ宇宙分野情報サイト

CLOSE

ニュースNEWS & TOPICS

仏印宇宙協力:気候変動問題に重点&複数の協力プログラム

P20201002 Inde.jpg2020年9月30日、仏国立宇宙研究センター(CNES)のルガル総裁とインド宇宙研究機関(ISRO)のシヴァン長官はリモートで会談を行い、両機関の宇宙協力プログラムの進捗を話し合った。その中でも気候変動問題に取り組むプログラムが重要であると共通の認識を確認した。

会談の中で取り上げられたプログラムは以下のようになる。

継続的海洋航行監視衛星システム

2019年8月、CNESとISROは衛星システムの開発・製造を約束した。この衛星システムには船舶自動認識システム(AIS)のための通信機器、レーダと光学両方の観測機器が搭載される予定。衛星は両国が共同でインド洋の海洋航行をモニタリングする。

TRISHNA(トリシュナ)気候観測衛星システム

TRISHNAは高精度の熱赤外モニタリングシステムで、地表の温度を観測する。打上げは2024年の予定(2020年6月時点のCNESの情報)。現在はCNES、ISROの共同チームにより設計段階を終え、数ヶ月後からは開発・製造の段階に入る。TRISHNAのモニタリングによって、農業支援や都市部の気温上昇の様子を明らかにするなどの貢献ができると期待されている。


Oceansat-3とArgos-4

2019年末、インドの海洋研究衛星Oceansat-3に搭載されるArgos-4機器がインドに到着した。Argosシステムは衛星側搭載機器と地上の送受信プラットフォームとの通信によって測位とデータ収集を行うシステムで、1978年にCNESとアメリカ海洋大気局(NOAA)が企画して始まった。事業管理はCNESの子会社で世界各地にオフィスを持つCLS(本社トゥールーズ)がおこなっている。


そして現在はCNES、NOAAの衛星以外にも欧州気象衛星開発機構(EUMETSAT)、ISROの衛星にもArgos機器が搭載されており、CNESはOceansat-3での協力は衛星による気候監視分野の仏印協力をさらに強化することになると考えている。

有人飛行分野

2018年9月、CNESとISROは有人飛行分野の協力について作業部会を発足した。とりわけ宇宙医学、宇宙飛行士の健康管理などがテーマとして持ち上げられている。

ISROの金星探査機にフランスの機器搭載

2025年に打上げ予定のISROの金星探査機への搭載機器公募で、CNES、ロスコスモスおよび仏国立科学研究センター(CNRS)の大気環境宇宙観測研究所(LATMOS)が共同開発したVIRAL機器(金星赤外線大気ガスリンカー:Venus Infrared Atmospheric Gases Linker)が採用された。CNESはフランスチームの作業のまとめ役を務める。インドの宇宙探査ミッションにフランスの機器が搭載されるのは初めてのことである。


ソース:CNES(30/09/2020)、CNESのArgosの紹介ページ、CLSのサイト

文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)

No:N20201002-01