posted: 2019/03/26
update: 2019/03/30
英国宇宙機関(UKSA)は、宇宙分野が生む経済的利益についての最新報告書を2つ発表した。これはUKSAがロンドン・エコノミクス社に委託して作らせた「宇宙分野のスピルオーバー効果レポート(原題 Spillovers in the space sector report) 」と「賢い政府プログラムのための宇宙分野の経済評価レポート(原題 Economic evaluation of the Space for Smarter Government Programme report )」である。
宇宙分野のスピルオーバー効果レポートでは、市民・国民が支払う1£が宇宙産業側では3〜4£の価値を生み、また宇宙分野への投資は新たな知識や技術革新を生み出すためイギリス経済にさらに幅広い利益をもたらすこと、などを報告している。
同レポートは複数の具体的プログラムを調査し効果を算定している。例えば英政府が6000万£の投入を決めたエアーブリージング・ロケットエンジン開発のSABREプログラムが扱う熱交換技術は、高性能自動車、産業用熱交換器、バッテリー冷却システムなど、様々な市場に利用可能である点が挙げられた。また火星探査のエクソマーズミッションの火星ローバーに用いる先端的溶接技術は、現在アルミ缶製造に利用されており、原材料の12%(1億£に相当)を節約できている点も書かれている。
ソース:UKSA(22/03/2019)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N°20190326-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。