posted: 2019/08/12
update: 2019/08/12
欧州の宇宙産業や公的機関の広報やメディアもこの時期は夏休みモードで、特に大きなことが起こらない限り時事記事のアップデートもない。
それなので今回は「お盆休みゆったりニュース」として2019年8月上旬にフランス外務省がサイトに挙げたアリアン・ロケットのプロモーション動画を紹介する。特に目新しい情報はないが、こんなプロモーションもしている、ということで紹介することにする。
この動画はアリアンロケットファミリーを運用するアリアンスペース社のステファン・イズラエル社長がアリアン事業を紹介するもので、時期的にはアリアン5によるEDRS-C衛星の打上げが成功してまもなくアップされたものである。動画は3分ちょっとの長さ。日本語字幕版もある。以下がその内容の抜粋である。日本語字幕版と少し訳のニュアンスが異なる部分もあるが、それは勘弁いただきたい。では、その要旨抜粋。
タイトル:「アリアン:欧州の成功」
<イズラエル社長> 皆、アリアン・ロケットが素晴らしい成功をおさめているのは知っているけれど、これが欧州の12カ国もが参加する大きな事業で、その中心にフランスとドイツがいることを忘れがちである。
アリアン5は1996年の初号機打上げ以来、100回以上の打上げを行い、210機以上の衛星を軌道に送っている。アリアン事業にはアリアンプログラムに参加する12カ国、600社以上の企業が関わりそこでは3万人の雇用を生み出している。
2019年1月、仏独協力条約が署名されその中には宇宙分野の協力も含まれていた。しかしアリアンはプログラムが始まった頃から欧州プログラムであると当時に仏独プログラムでもあった。
<挿入:ヴェルノン工場のエンジニアの話>
(ヴェルノンはパリから西に約75kmほど行ったところにある町で、ヴェルノン工場はアリアン・ロケットの重要な製造拠点の1つである。)
エンジニアの話「ここでは2020年にデビューする予定のアリアン6ロケットのエンジンが作られています。ドイツ、ベルギー、イタリアなど複数の国からパーツが集まってきます。〜中略〜。フランス人は部品を見るとどうやって動くのかを考えますが、ドイツ人はどうやってそれを製造するかを考えます。ちょっと誇張した言い方でしたが、このように異なった見方があることで我々の考え、アプローチ法が豊かになっていきます」
<再びイズラエル社長>
アリアン6はアリアン5よりも40%のコストダウンを目標としている。そして今後月の資源採掘やそこでの燃料製造によるより遠い宇宙への探査、またギアナ宇宙センター(CSG)からの有人ミッションも可能になるかもしれない。
ソース:仏外務省(08/2019)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20190812-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。