posted: 2020/10/16
update: 2020/10/16
2020年10月13日、欧州の宇宙企業が加盟するASDユーロスペース協会は、EUが安全なコネクティヴィティのための衛星システムを構築するよう促すレポート(ユーロスペース白書)を発表した。
これは、ここ数週間にかけてフォン・デア・ライエンEC委員長、EC防衛産業・宇宙総局(DG DEFIS)も担当するブルトン域内市場委員、ミシェル欧州理事会議長が、域内のための安全な宇宙ベースのコネクティヴィティの必要性について言及していることについて、では実際にそれを確立していくにはどうしていけばいいかを進言する内容になっている。
レポートではEUは既にGNSSのガリレオ、地球観測のコペルニクスと最高の衛星ベースのシステムを有しているが、通信分野に関しては地上ネットワークのソリューションに頼っており、アメリカや他国と比べると遅れていると書いている。
他国との比較の例に挙げられているシステムは既に運用が開始されているものから構築中のものも含めTop10としてAmazon Kuiper、Boeing V-Band、Globalstar 2、Iridium Next、SpaceX Starlink、US Space Development Agency(米)、Hongyan、Galaxy Space(中国)、Kepler、Telesat(カナダ)、その他45のプロジェクトが挙げられている。
そしてレポートは、EU/ECが主導する民生・軍事・商用に使えるブロードバンドの低軌道衛星システムを構築するよう進言し、その衛星システムはECが取りかかったカンタム通信インフラストラクチャ(QCI) プログラムとGovSatComプログラムでやりたかったことのある部分を実現できるだろうとしている。
またそのシステムは欧州市民のブロードバンドへのアクセスを確保できるだろうし、その衛星システム構築のために欧州ロケットが用いられることで、欧州の宇宙へのアクセスの自律性にも貢献できるだろうと書いている。
ソース:ASD-Eurospace(13/10/2020、15/10/2020)、Space Intel Reportの非購読者も閲覧できる部分(15/10/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20201016-02
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。