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ESAの契約2件:コペルニクス拡張のROSE-Lとデブリ除去の ClearSpace-1

P20201204 Rose L.jpgコペルニクス拡張のROSE-L

2020年12月3日、欧州宇宙機関(ESA)とタレス・アレニア・スペース社(TAS)はコペルニクスのセンチネル拡張ミッションの1つであるROSE-L(Radar Observation System for Europe in L-band)の開発に関する契約を結んだ。

ROSE-Lは文字通りLバンドのSARレーダを用いて、陸地、海洋、氷雪地域のモニタリングを行う。また同衛星はコペルニクスのセンチネル1レーダ衛星を補完するだけでなく新たに植生、氷雪、海洋の観測データセットも提供する。打上げ予定は2028年とのこと。

ミッションのプライム・コントラクタはTASイタリアで契約金額は4億8200万ユーロ。エアバスDS社ドイツは搭載機器を開発製造する。

これでESAが進める6つのコペルニクス・センチネル拡張ミッションの契約発注が出揃った。センチネル拡張ミッションは、今のセンチネル衛星システムの能力を補完し、EUが進めるコペルニクス・プログラムのより有用な形での実現に貢献すると同時にセンチネルユーザの要望により応えていくことが狙いである。

また、これらミッションの発注によって、Covid-19パンデミックの影響を受けている欧州宇宙産業を支援しようという意図もある。

ただし、EU/EC、ESAの間で予算投入の算段がまだついておらず、これらミッションを最後まで行うかどうかは2021年下半期に判断される予定とのこと。

6つのコペルニクス・センチネル拡張ミッションをまとめると以下の表のようになる。

P20201205 Sentinel priority.jpg

宇宙デブリ除去のClearSpace-1ミッション:スイスのスタートアップ企業から調達

2020年12月1日、ESAはスイスのスタートアップ企業ClearSpace社と宇宙デブリ除去サービスに関する契約を結んだ。ESAによるClearSpace社のClearSpace-1ミッションの調達であり、契約金額は8620万ユーロ。最初のデブリ除去ミッションは2025年に予定されている。

Clearspace-1は軌道上にある宇宙デブリを除去するための衛星で、宇宙デブリを捕まえて、安全に再突入時の燃焼分解を行うことを目的としている。下の画像のようにかぎ爪で対象物を捕獲するためThe Clawという愛称でも呼ばれている。

P20201205 Claw.jpg


イギリス宇宙機関(UKSA)はこのミッションへのイギリスの宇宙業界の貢献を伝えている。(フラスペ ニュース 2020年11月18日付 「スイスのスタートアップ企業の宇宙デブリ除去衛星とイギリスの参加」https://www.france-space.com/news/post-42.html 参照)



ソース:ESA、TAS、Airbus DS(03/12/2020)、ESA、Clear Space (01/12/2020)、UKSA(17/11/2020)

文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)

No:N20201115-01