posted: 2020/12/01
update: 2020/12/01
2020年11月4日、アリアンワークス(ArianeWorks)はテミス(Themis)再使用型ロケット第1段実証機の開発で、テミスのタンクを垂直に立てる試験に成功した。実物大の試験であった。
アリアンワークスは、仏国立宇宙研究センター(CNES)とアリアングループ社が協力している開発推進プラットフォームである。
テミスは、欧州が目指している非常に低価格の液体酸素&メタンを推進剤に用いる、再使用技術導入のアリアン・ネクスト(ArianeNext)ロケットのための第1段実証機である。アリアン・ネクストは、2022年にデビュー予定のアリアン6の更にその次を行くもので2030年代の運用が考えられている。
(注:実際の運用時には「アリアン・ネクスト」と命名されるかはわからないです。アリアン7となるかもしれません。現在のプログラムでこの名で呼ばれています。)
テミスのタンクにはストライク(Strike)というコードネームが付けられた。ストライクを垂直に立てるオペレーションはアリアングループ社のヴェルノン(フランスのノルマンディ地方、パリから西に約75kmほど行ったところ)のPF20施設で行われた。 この施設はかつてアリアン4のために使われていたところである。
今回のタンクを垂直に立てる試験では技術的に重要なポイントが複数あった。例えば内部の推進剤供給ラインや、酸素タンクとメタンタンクを仕切る隔壁の技術・構造の確かめである。この試験で成功できたため、開発&テストは例えば推進剤充填など次の段階に進んでいけることになった。
ソース:ArianeGroup(12/11/2020)、A&C(13/11/2020)
文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)
No:N20201201-01
運営者 PROFILE
フランスの大学院で仏欧宇宙産業政策を学び、その後現地で同分野の調査研究に従事。フラスペを立ち上げ「フランス・欧州宇宙分野」をメインに情報を発信。
宇宙業界のほか航空、科学・技術・イノヴェーションに関する政策・動向の調査研究なども手がける。また在仏日系企業や日本人家庭のヘルプ業務も受託。