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ギアナ宇宙センター(CSG)上空の気流の解説

P20200826 Vega launch zone.jpg2020年6月中旬に予定されていたギアナ宇宙センター(CSG)でのヴェガ・ロケットのミッション(VV16)は、度重なる天候不良で延期が繰り返されている。そして次の打上げ予定日は9月1日に設定された。

この天候不良による打上げ中止について、フランスの科学技術専門サイトのフュチュラ・シアンスはCSG上空の気流について説明し、アリアンスペース社が打上げを行わなかった理由を推定し論じている。以下がその要旨である。

赤道近くに位置するCSGの上空には、地上から成層圏までの間に3つの異なる気流がある。東寄りの貿易風、西から吹く亜熱帯ジェット気流、そして熱帯成層圏ジェット気流である。概ね6月半ばから8月終わりまでは亜熱帯ジェット気流の西側の層はなくなり、貿易風と成層圏ジェット気流は1つになって吹く。

上空の風の状態はロケット打上げを決行するかしないかを判断する要素であるが、それはロケット自体が上昇していけるかどうかだけでなく、もし何らかの不具合が発生し爆発が起こったかあるいは自動爆破した場合、機体の破片がいかに落下するかにも影響する。CSGでの夏の打上げの際、それら破片は当然東からの風の影響を受け西側へと落下していく。

こうして東からの風の影響を受ける状況で、もしシンナマリの町(CSGから20kmほど)を通るヴェガ・ロケットが上空で爆発したならば、住民に多大な被害を与えてしまうことだろう。

ロケットの上昇自体に影響はなかっただろうが、アリアンスペース社は爆発・爆破のケースでそうなることを懸念して打上げを延期にしてきたと我々は考えている。



ソース:Futura-Sciences (25/08/2020)



文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)

No:N20200826-01