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国際探査機・観測機開発プログラムの進捗3件

P190824 ROVER EXOMARS.jpg欧州が関わる国際探査機・観測機開発プログラムの最近の進捗状況を3つ紹介します。

1/ エクソマーズ 2020のローバ「ロザリンド・フランクリン」

2019年8月20日、英エアバスDS社は同社のスティーブニッジ(英)の施設で開発製作が進んでいるエクソマーズ 2020のローバ「ロザリンド・フランクリン」にパノラマカメラPanCamを取り付ける作業を行なったと発表した。

PanCamはロンドン・ユニヴァーシティ・カレッジ(UCL)のマラード宇宙科学研究所(MSSL)が他の国内外のパートナーらと共に開発した。PanCamはローバの航行のための火星の地上の3D画像取得だけでなく、火星の大気も観測する。


イギリスは欧州で2番目のエクソマーズ・プログラムへの貢献国で、2億8700万ユーロの予算拠出をし、また1400万ポンドを国内の宇宙企業が担当する機器開発・製作に投入している。同ローバは8月末にはトゥールーズのエアバスの施設に運ばれ試験が行われる。打上げは2020年7月の予定。


2/オライオン欧州サービスモジュール(ESM)

2019年8月2日、NASAのケネディ宇宙センター(KSC)で統合が行われたオライオン宇宙船に最初のパワー・オンが行われた。欧州はオライオン宇宙船に欧州サービスモジュール(ESM)を提供している。ESMはオライオンに電気、水、酸素、窒素などを供給するモジュールである。ISSのためのATV欧州補給機の技術をベースにエアバスDS社が開発を担当した。

同社のブレーメン工場で製作されたESMはアメリカに運ばれ、2019年7月18日、クルー・モジュールおよびクルー・モジュール・アダプタとの統合が行われている。今後は熱シールドの取り付けが行われる予定。


3/フランスの化粧品業界大手のロレアルが協力する理研のMini-EUSO望遠鏡(*)

2019年8月22日、理化学研究所(理研)の研究室が開発・製作に携わったMini-EUSO望遠鏡(EUSO:Extreme Universe Space Observatory)を載せたソユーズMS-14が国際宇宙ステーション(ISS)に向けてバイコヌールから打上げられた(*)。そしてそのMini-EUSOの開発には化粧品業界大手のロレアル・グループ(本社パリ)の研究・技術革新部門も参加している。

ロレアルはこれまで肌の状態を撮影し分析するため撮影技術の研究を続けており、その専門性を宇宙分野にも応用させ、さらなる技術革新に挑むという目的でこのプログラムに参加している。EUSOプログラムは宇宙や地球で発生する現象をより細部にわたって捉え理解していくために、マルチ・スペクトラルの画像取得が可能な望遠鏡を利用しようというもので、世界16ヵ国の研究者が集結して進められている。


****Mini-EUSO望遠鏡の説明(理研:2019年8月20日より)****
Mini-EUSO望遠鏡は国際宇宙ステーションへ運ばれた後、ロシアの実験棟のズヴェズダモジュールの窓に取り付けられ、夜の地球の250km四方を近紫外線で毎秒40万フレームで撮影します。Mini-EUSO望遠鏡は超高エネルギー宇宙線を観測する超広視野望遠鏡EUSO[1]の開発の一環として位置づけられ、衛星軌道から宇宙線を観測する際のバックグラウンドとなる近紫外線夜光の全球分布を作成します。


(*)Mini-EUSOを運ぶソユーズMS-14の打上げは成功裏に終わったが、現在(8月24日)、ISSとのドッキングがうまく行かず未だ輸送機器・物資はISS内に搬入されていないとのこと。現在対処法が検討されている状態のようだ。うまくドッキングできることを願う。



ソース:エアバス、ESA(20/08/2019)、ESA(22/08/2019)、ロレアル(22/08/2019)、RIKEN(20/08/2019)他

文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)

No:N20190824-01