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解説・特集COMMENTARY / FEATURE

特集1

フランス・欧州の宇宙分野の特徴・興味深い点(1)役者がいっぱいで複雑

P190323 Ariane family.jpgこの特集・解説のコーナーでは、フランスや欧州の宇宙、航空、科学、技術、産業などの分野で、さらに掘り下げていけば面白そうだ、解説やまとめがあった方がいいのでは、と思う件について、随時解説、考察、感想等を掲載していきます。

初回のシリーズは、フランス・欧州の宇宙分野の特徴、興味深いと思われる点について。既に多くの研究で考察されてもいますが、ここであらためて調査研究の過程でつくづく感じる要素を取り入れ以下の3点を挙げてみます。


1. 欧州の宇宙分野は、役者の数が多く構造は複雑
2. やめるわけにはいかないオートノミーへの努力(代表例:ガリレオ、ロケット)
3. フランスはロケット推し


では、最初の1の「欧州の宇宙分野は、役者の数が多く構造は複雑」から始めます。
ここでの「役者」とは、宇宙分野を進めていく際に関わってくる機関、組織、企業などのことと考えてください。1つの国が宇宙分野を進めていく際に登場してくるのは宇宙機関、宇宙機関の担当省庁および、プロジェクトに関連する省庁、そして学術研究界、メーカやサービス事業者等の産業界などです。大きな基本政策から個々のプログラム、プロジェクトについて、これら役者たちが協力や交渉をしながら、あるいはトップダウンの指導の場合もあるでしょうが、進めていく形です。それぞれに意向があるのでまとめていくのは大変です。



さて、欧州ではどうでしょう。宇宙分野に限らず農業でも金融でも欧州の全ての分野にいえることですが、それぞれの国にもその分野を担う役者がおり、またそれらが欧州域内をまとめる側にも存在する状態です。当然役者の数も増えます。さらに厄介なのが、まず、全ての欧州内の国が欧州をまとめるために設置されたさまざまな組織やシステムに参加しているわけではないこと、例えばA国はこの組織には加盟しているけれど、あれには加盟していない、といったことです。また欧州内の国同士や圏外の国も加わった2ヵ国あるいは複数国間協定も存在します。役者数の多さとこれらの点が構造を複雑にしています。

(2)に続く

文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)

No:D20190323-01