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ESAのヴァーナー長官:コロナ第2波の今について思うこと

P20200909 Terre.jpg2020年11月4日、欧州宇宙機関(ESA)のヴァーナー長官は「長官ブログ(DG's Blog)」を更新し、コロナ第2波について書いている。

まず長官は冒頭で、みんながコロナと戦っている中、一方で領土問題をめぐる戦争や、テロなどの人間同士の紛争が絶えないないことに言及し、このような人為的問題に悲しみ、あるいは怒りさえ感じると綴っている。

そして、ここ数週間テロ事件が起こっているフランスとオーストリアの同僚・人々に対し追悼の意と連帯の心を捧げている。これら標的を定められたテロ攻撃は特にひどいもので、自由は我々がやること全ての基盤であり続けなければならないことは自明の理であると書いている。

次に、そんな中でも有り難いことにESAはよくやれているというポジティブな面もあると、複数の例を挙げて書いている。それはESAのミッションに関することだけでなく、厳しい状況下にある欧州の宇宙産業が安定するようサポートできていることも含まれている。

ESAミッションについてはNASAとの火星サンプルリターンと月ゲートウェイの了解覚書、ヴェガ及びアリアンのロケットの事業の再開・継続、べピコロンボ、ソーラーオービタなど太陽系探査プログラムが順調に進行していること、その他HERA、ADRIOS、Phi-Sat-1、Moonlight initiative、GalileoとEGNOSなどが挙げられている。

そして、ヴァーナー長官はコロナ第2波における公的機関の施策について、最近の人々の災害時の行動心理学の研究結果に例えながら、本人の意見を明らかにしている。それは以下のように書かれている。(概要意訳・全部はカバーしていません。)

自然災害が起こった時、公的機関は住民に家を捨てて避難するするよう伝えた。その時10%の人はそれに従い避難した。80%は、その避難した10%の人がどうなるか様子を見ていた。そして残りの10%は家に居続けた・・・そして亡くなっただろう。

コロナの場合と比較してみよう。コロナ対策は人々の自由を制限する政治的陰謀に過ぎないと考え明らかな指導に従わない人たちがいるが、それは上記の、家に居続けて亡くなる10%の人たちのグループに入る。

最善を尽くしてステイホーム 、ソーシャルディスタンスを心がけ、自分だけでなく、他の人々がコロナに感染するのを防ごう。

コロナの問題は経済状態と人の健康問題、そして個人の自由のバランスが重なる重要な問題である。人々は複雑な問題にも簡単な答えを求めるが、複雑な問題に対する答えは簡単ではなかろう。

もし我々の進めている素晴らしい宇宙機を見た宇宙人が、でも実際その地球では地球人自身が地球での生活を破壊していると知ったらとても驚くことだろう。

皆で頑張って協力してこの危機を乗り切りましょう。


ソース:ESA DG's BLOG(04/11/2020)

文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)

No:N20201107-01