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ESA、コズミック・ヴィジョンのコメット・インターセプターでタレスに準備研究を発注

P20201214 Comet Interceptor.jpg2020年12月14日、タレス・アレニア・スペース社(TAS)は欧州宇宙機関(ESA)からコズミック・ヴィジョンFクラスミッションのコメット・インターセプター(Comet Interceptor)に関する契約を受注したと伝えている。

ESAのコズミック・ヴィジョン・プログラムとは長期計画を立て科学探査ミッションを行なっていくもので、規模別にスモールのSクラス、ミディアムのMクラス、ラージのLクラスが設定されていた。そこに新たに、ミッションが選ばれてから実現までの合計開発期間短いFクラスが設けられた。「F」はfastのFから取られた。このコメット・インターセプターはそのFクラスミッションにあたる。

Fクラスのミッションの宇宙機は打上げ時重量1000kg以下のもので、Mクラスミッションと同時に打上げられる。投入ポイントは太陽・地球のラグランジュL2ポイントとなる。

コメット・インターセプター・ミッションは太陽系に入ってくる太古の彗星や太陽系を横切っていく恒星間物質の観測調査を目的としており、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンやエジンバラ大学などイギリスの研究界が率いる国際チームよって発案された。

ミッション構成は1つの母機と2つのプローブからなっており、ESAが母機とプローブB2を、JAXAがプローブB1を提供する。2028〜29年にアリアン62によってMクラスの太陽系外惑星研究のARIELとともに打上げられる予定である。コメット・インターセプターはL2に投入された後そこで待機し、目的の彗星が現れたら自身の推進システムでターゲットに向かっていく形となっている。

ESAとの契約でTASイギリスは宇宙機全体の設計と、宇宙セグメントの組立・統合・試験の開発の準備、打上げ支援、軌道上の運用を担当することになった。またフランス、イタリア、スペインのTASもそれぞれの専門能力を提供してミッションの実現を支援する。



ソース:TAS(14/12/2020)、ESA(Comet Interceptorのページ)

文:浜田ポレ 志津子(フラスペ)

No:N20201214-01